散弾銃でのヒヨドリ待ち猟

4回実施し、とりあえずこうすればヒヨドリを落とせる、という感じが掴めてきたので、現時点で気づいたことなどを記す。

私が現在行っているのは、ヒヨドリの餌となる果実や花が付いている木の近くに座って待ち、ヒヨドリが飛んできて木に止まったら散弾で撃つ、という単純な方法である。

この方法のメリットは、場所移動する必要が無いこと、特別な射撃技術が必要ないこと、鳥種の識別をする余裕が十分あること、などが挙げられる。

デメリットとしては、鳥が止まる樹木を傷つける可能性があること、また空気銃を使用する場合に比べ大きな音が発生し弾代が高く、錯誤捕獲の危険が高いということが考えられる。

[場所について]

兎にも角にも重要なのは、ヒヨドリが沢山飛んできて、なおかつ銃を撃っても大丈夫な木を見つけることである。

ヒヨドリがやってくる果実の生った木は、山を歩いてヒヨドリの鳴き声を拾えれば、見つけるのは簡単だろうと思う。

法的に銃を撃っても問題ない場所であることは前提として、待ち猟をする上で適当な条件としては、以下のようなものが挙げられる。

・撃ち落とした鳥を回収しやすいこと
枝葉の密度が高いと、撃たれたヒヨドリが引っかかって落ちてこないことがある。また、草本や低木が下に茂っているような場所では、地面や茂みの上に落ちた個体を回収できない確率が高まる。当然ながら、待つ場所と落下地点の間を行き来しやすい方がいい。

・待ちやすい場所から撃てる位置にあること
座って待つので、平坦で乾燥しているのが望ましい。対象の木から適度な距離を保ちつつ、なおかつ飛来前のヒヨドリから見えにくい位置で待てると、警戒されにくいのではないかと思っている。捕獲を実施する時間帯に、日陰・逆光等で鳥の視認が困難にならないことも重要である。

[道具について]

現在は、Beretta A400 Xplor Action (20番、26インチ銃身)に、チューブタイプのダットサイトを付けて使用している。弾は9号の28g (RIOやGBなど、メーカーは気にせず)。

12番装弾の方が20番より価格が1〜2割安く、より散弾重量の重い32gも選択できるので、基本的には12番の方が有利である。

チョークはフルとモデを試したが、約30mの距離でどちらも問題なくヒヨドリを落とせた。半矢と錯誤捕獲を減らす観点から、この距離でもフルチョークの方が好ましいと考え、フルを使うようにしている。フルチョークで撃った個体でも、食べるのに適さないほど肉の損傷が大きいとは感じていない。

ちなみに、使用している銃のダットサイトは、シリンダーチョークでスラッグ弾を撃った時の50mでゼロインしてあるので、9号弾でのパターンの中心と狙点が一致していない可能性が高い。とりあえず問題なく当たっているので、ズレはそれほど大きくないはずだが、きちんとパターンテストをして照準を調整すれば、チョークの選択も変えた方がいい可能性がある。

照準はオープンサイトでも十分当てられるが、一番良いのは低倍率のスコープだと思われる。30mほど離れると、止まった鳥がヒヨドリなのかどうかと、枝葉や実でヒヨドリの体が隠れているかどうかが、肉眼では判別しにくい。散弾が広がると想定される範囲が、概ね見える倍率で狙うのがベストだと考える。

飛来した鳥の識別には、双眼鏡を使用している。倍率は約30mの距離では8倍より10倍の方が見やすいと感じている。歩き回る猟ではないので、明るくて見える範囲の広い、口径の広いタイプが有利である。

[待ち方・撃ち方]

適当に座って待ち、鳥が飛来したら双眼鏡で確認、ヒヨドリが撃ちやすい場所にいたら撃つ、というのが基本的な流れになる。

止まっているところを撃つ待ち猟では、2発目を撃つ必要が無いので、弾倉に弾を入れることは無い。私の場合は、薬室に装填だけして待つようにしている。装填せずに待つほうがより安全だが、ワンテンポ遅れると射撃の機会を逸することもあるので、慣れてきたら装填状態で待つのは問題無いと考えている。当然ながら、立ち上がって移動する場合や、付近を人や車が通る場合などには、すぐに脱砲する。

木に飛来したヒヨドリは、周囲を警戒した後、果実を選ぶため枝をちょこちょこと移動し、実を啄んである程度腹に収めたところで、より安全な木へと飛んでいく (ように見える)。散弾の場合、空気銃で頭や首を狙って撃つのとは異なり、ヒヨドリが多少動いていても当てることが可能である。しかしながら、撃つ位置から見て、ヒヨドリの体の大部分が、太い枝や葉、大型の果実などで隠れている状態では、撃っても失中や半矢になりやすい。対象の木に1羽しかヒヨドリがいない場合は、その個体が撃たれやすい場所に移動するのを待って、複数羽いる場合は最も撃たれやすい個体を選んで、撃つようにするのが良いと思う。

ヒヨドリの待ち猟で気をつけなければならないのが、錯誤捕獲である。果実や花の蜜を求めてやってくるのはヒヨドリだけではないので、狩猟鳥獣でない種の鳥を間違って狙って撃ったり、ヒヨドリの近くにいるところを巻き添えにしたりしないよう、注意する必要がある。引き金を引いたタイミングで、たまたま散弾のパターンに別種の鳥が飛び込んでくる、ということもありうるので、100%避けることは出来ないが、狙っているのがヒヨドリで、散弾パターンの範囲内に非狩猟鳥獣がいることが明らかではない、という程度の確認はすべきだろう。

ある程度観察していると、対象としている木に飛来したヒヨドリには、人の姿あるいは双眼鏡や銃を構える動作を認めてすぐ飛び立つ (逃げる)警戒心の強い個体と、気にせず餌を摂ろうとする警戒心の低い個体がいることが分かる。私は今のところ、猟友会のオレンジベストを着用し、カモフラージュネットなども使わず、木に飛来した鳥からは丸見えの状態で待っているので、私の存在に気づいている個体と気づいていない個体がいると言うよりは、気づいていて逃げる個体と逃げない個体がいるのだろう、と考えている。一般に、鳥の警戒心の強さ (逃げるまでの距離など)には、ある程度の個体差があることが知られている。私の感覚では、前者のヒヨドリを、飛来後に双眼鏡で確認してから撃とうとするのでは、間に合わないことが多い。そういった個体を慌てて撃とうとしても、失中する可能性が高く、危険性も高まると考えられる。警戒心の高い個体の捕獲は諦めて、滞在時間の長い個体を狙うよう意識するのが良いと思う。

ヒヨドリの飛来数が少なく、警戒心の高い個体も撃つことを求めるのであれば、対象木と待ち位置の距離を長くし、カモフラージュを施し、飛来の確認から構えて撃つまでの時間を短縮する、といった作戦を実行する必要があると思われる。これは今後の課題としたい。

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