シカの誘引狙撃 その4 餌を使った誘引方法

シカの誘引に使う餌としては、糠かヘイキューブ、あるいは塩を使うのが一般的である。

糠は(場所に依るが)無料で手に入るのが最大の利点であるが、濡れると腐りやすいのと、イノシシなど他の動物に食べられやすい、という欠点がある。私のやっている場所では、イノシシが日中 (銃での捕獲ができる時間帯)に糠を食べに来た例は今のところ1度も観察されていないので、夜のうちに食い荒らされるだけで、イノシシを誘引しても狙撃には結びつかないと思われる。腐りやすいという点に対しては、少し土を盛り上げて水捌けを良くしたところに、円錐状に糠を積み上げていくと多少マシになるのと、天気予報をよくチェックして雨の前には糠を追加しないようにすれば、それほど問題とはならない。

ヘイキューブは購入しないといけない (私の入手先では約4,000円/30kg)が、糠より傷みにくいのと、シカ以外の動物に摂食されにくいという利点がある。(法眼ら 2017)は、シカが糠よりもヘイキューブを積極的に食べたとしており、ヘイキューブに高い誘引性があると考えられる。(川中 2019)は、ヘイキューブに醤油をかけたものが、醤油なしのヘイキューブや鉱塩よりもシカに摂食されていたと報告しており、これも試す価値があると思われる。

鉱塩も購入しないといけないが、基本的に痛むことがないのは利点である。(池田ら 2018)では、鉱塩がヘイキューブや糠よりも、シカに対する誘引効果が高いとしている。

それぞれの餌のシカに対する誘引効果は、季節や周辺の環境にも大きな影響を受けると考えられるため、自分の猟場で実際に試してみて、どれが効果的かを検証するのが良いと思われる。

初めての場所にいきなり餌を撒いても、シカがすぐに誘引されて摂食するわけではないが、同じ場所に給餌を続けると、餌場と認識されて頻繁に訪れるようになる、というのが普通のパターンである。餌が傷んで誘引に適さなくなるのは、痛む前に食べられていないからであるので、最初は傷みにくいヘイキューブを使い、餌がすぐ無くなるようになったら入手費用のかからない糠に切り替える、という手も考えられる。

餌が雨や雪で濡れて傷まないようにするには、屋根を付けるということも有効だろうが、自分の所有地ではないところで実施しているので、目立つ人工的な構造物を設置するのは躊躇われる。

設置した餌をシカが食べていることが確認できたら、あまり長いこと餌を切らさないように、定期的に追加するのが良いと思われる。私の場合は、最初は週に1回程度、シカが頻繁に訪れていることが確認できたら、2,3日に1回のペースで餌を追加している。餌を持っていく時間帯は、せっかく誘引されたシカを驚かすことがないように、シカがあまり来ない時間帯、私のやっている場所で言えば昼から夕方にかけて、に行くようにしている。

次回は自動撮影カメラを用いた事前観察について書く。

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