シカの誘引狙撃 その5 自動撮影カメラによる事前観察

4頭のシカが誘引場所で餌を食べている。矢印のルートで誘引場所を出入りすることが多い。
シカが目的通りに誘引できているかを確認するために、自動撮影カメラを用いて観察をする。写真で確認したい最も重要なことは、何時にどれくらいの頻度でシカが来ているか、である。餌や好適な環境を用意して誘引したとしても、シカが夜間しかその場所を訪れていなければ、銃で撃つことはできないし、シカがあまり来ない時間に狙撃場所で待機していても無駄である。

その他に写真から得られると良い情報としては、以下のようなものが挙げられる。

・群の構成 (雌雄、頭数、大きさ)
・餌を食べている時、休息している時の、体の向きや姿勢
・群れの滞在時間
・シカが来るルート、帰るルート

シカが撃ちにくい体の向きや姿勢をしていることが多い場合は、餌を置く場所を変えるか、障害物を配置してシカの立ち位置を制限するか、狙撃場所を変更することが出来る。

滞在時間が短い場合は、餌の種類や量を工夫できないか考えるのと、シカの警戒心が高い場所である可能性があるので、シカが安心できるところに誘引場所を移動させる必要があるかも知れない。

シカの行き来するルートが分かっていると、狙撃地点での見張りが気持ち楽になる。もしそのルートが狙撃地点や狙撃地点までの道と重なっている場合は、狙撃地点を移動するのが良いだろう。

さらに観察を続けると、以下のようなことが分かるかも知れない。

・群れが誘引場所に来る時、全個体が一斉に来るのではなく、1,2頭が先にやってきて危険がないことを確認したのち、残りのメンバーがやって来ているように見えることが多い。
・複数個体が同時に誘引場所へ来ている場合も、一部の個体が見張りをしている。
・餌がなくなっている場合、無いことを確認するとすぐ立ち去り、その後に群れの他の個体が来ることは少ない。
・イノシシやキツネが近くに来る前に、シカが立ち去ることが多い。

木にナイロンベルトで固定し、本体の上下に小枝などを噛まして角度を調整している。
これまで挙げたような情報が予めあると、実際に狙撃をする際に有利な行動を決定する助けになる。

例えば、誘引場所を頻繁に訪れる群れの大きさが4頭くらいで滞在時間が20分程度ある、ということが分かっていれば、1頭が誘引場所に現れたとしても急いで撃つのではなく、残りの個体がやって来てから、狙撃しやすい位置にいるかや個体の大きさで狙撃対象を選ぼう、と決められる。

あるいは、狙撃場所に着いた時点で誘引場所の餌が無くなっていた場合は、1頭目が現れたら帰られる前にすぐに撃とう、という心の準備ができる。

このように、自動撮影カメラを用いて事前に観察をすることで、出猟時の誘引確率を高め、狙撃成功率も上げることができると考えられる。

OTGケーブルを介してスマートフォンと繋げば、自動撮影カメラの写真データを吸い出せる。機種の組み合わせによっては出来ないこともある。
上記のような観察をするのに高価な機種は必要なく、安物の自動撮影カメラで十分である。動画を撮影すると電池とメモリーカードの容量を激しく消費するので、写真のみの記録で良いだろう。写真の解像度もそれほど必要ではなく、最高画質で記録するとデータの回収時に時間がかかる (数百枚の写真を手持ちの端末に移すのに、数分かかることもある)ので、私は解像度を落とした設定にしている。

データの回収は、メモリーカード自体を交換する方法でもいいが、可能ならばスマートフォンなどの端末とUSBケーブルでつないで写真データを吸い出す方が楽で、メモリーカードの予備も要らない。

次回は、誘引場所と狙撃場所の整備について書く。

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