シカの誘引狙撃 その13 狙撃の動作

誘引場所にシカがやって来たら、いよいよ狙撃することになる。

安全のため、まずは銃口を向ける前に、誘引場所に来ているのが本当にシカであって、周囲に危険がないことを確認する必要がある。

双眼鏡などを使い、どこからどう見てもシカであることが判明したら、標的とする個体と狙撃場所を決める。

複数の個体が確認できる場合は、立ち位置や体の向きに応じて、急所の狙いやすさに差がある場合があるので、もっとも適当と思われる個体を選ぶ。

ターゲットが決まったら、慎重に猟銃を手に取り、未装填の場合はここで装填、装填済みの場合は構える。構えるときも、なるべくゆっくり動くようにする。

装填し構えた状態で、照準機器を操作することに不安がなければ、スコープの倍率やダットサイトの照度を改めて調整する。不安であれば、装填する前に構えて調整する。

シカを照準に入れてから初めて、引き金に指を入れる。狙っている部位が動く気配の無いことを見極め、発射のタイミングを図る。

私は、「絶対に当てなければならない」と考えるのではなく、「これで撃ったら後悔がない」、と思える状態で引き金を引くことにしている。自信を持って撃つというのは大事なことで、ここで撃てば当たる可能性が十分高い、と思えなければ、撃たない方がましである。ここでいう十分高い、のレベルは状況にも応じて個人差があると思うが、自分が納得できる状態で発射するという意識が大事である。

1発目を撃った際、弾が当たった個体は、その場で倒れるか、全速力で走り出す。走られた場合、血痕を追って探す必要があるので、狙った個体がどちらの方向に走るかを見るべきである。弾が当たっていない個体も、50m程度の距離であれば、銃声を聞けばまず間違いなく全速力で逃げるわけだが、狙撃場所から見た誘因場所周囲の見通しが悪い場合、自分のいる方向に獲物が走ってくる等の特殊な状況以外では、2発目以降を撃つことは困難である。

私は経験がないが、海外の動画などを見ていると、長距離 (200m〜?)かつシカが狩猟者の位置を把握できていない場合、近くの地面に着弾したり、仲間のシカが被弾して倒れたりしても、警戒行動はとるものの、ダッシュで逃げるということをしない場合があるようである。そのような状況であれば、2発目以降を発射することが可能であると思われる。

2発目を撃つ状況でないと判断したら、すぐに脱砲し、できれば猟銃にはカバーをかけ、荷物をまとめて誘引場所へと移動する。早めに倒れたシカの元へ辿り着ければ、それだけ血抜きをしっかりと行いやすい。

次回は、弾が当たったものの即倒せず走られた場合の追跡について書く。

Leave a Comment