空撃ち薬莢危険説について

以前、銃の所持許可更新のため、射撃場で技能講習を受けた際、担当の射撃指導員から、「銃をロッカーに保管する際、薬室に空撃ち薬莢を入れて引き金を引いておくのは、大変危険なので絶対にしないように」と言われた。

しかし私は、頻繁に猟銃を使用する猟期中以外は、なるべく撃鉄を落とした状態で保管している。その方が、撃針のバネが長持ちすると別の射撃指導員から聞いていたからで、その別の射撃指導員は、自身も必ず撃鉄を落とした状態で保管している、と言っていた。

空撃ち薬莢危険説を唱えた射撃指導員の理屈としては、空撃ち薬莢と間違えて実包を装填してしまう可能性が無いとは言えないから、実際に射撃をする時以外は、常に薬室は開けておくべきである、とのことであった。この理屈から言えば、ロッカーに保管する時だけでなく、家で空撃ちの練習をすることも危険だから避けるべき、ということになるだろう。

確かに、危険を避けるために、あらゆる可能性を排除するという考え方は重要であるが、空撃ち薬莢が危険というのは、いささか行き過ぎているように思う。軍隊などで訓練のために使われるダミー薬莢の中には、実際の装弾と区別が付きにくいよう似せて作られたものも存在するが、一般に空撃ち薬莢として売られているものは、金属製であったり (散弾銃の薬莢は殆どが樹脂製)、あるいは透明な樹脂で中のバネ (撃針の衝撃を受けるためのもの)が透けて見えるようになっていたりして、実包とは見た目も重さも感触も、全く違うものである。これを取り違えて、空撃ち薬莢を入れたつもりが実包だった、ということになる可能性は、限りなく低いと思うのだ。

もちろん、薬室を常に空けておく方が安心できる、と思うのであればそうすればいい。猟場と射撃場以外では、空撃ち薬莢を入れることもしない、と決めても大きな支障は無い (空撃ち練習を家で行うことはできなくなるが)。撃針のバネがヘタりやすいと言っても、長期的に見ればの話であって、狩猟中に弾が撃てなくなる原因になる可能性はこれまた低いだろう。

この程度のことは、個人が判断すればいいことであって、それぞれの考えがあるだろうが、他人に押し付ける必要は無いと私は思う。

私はこれからも保管時に空撃ち薬莢を入れて引き金を引いておくし、空撃ち薬莢を使った空撃ち練習を家でも行う。ただし、銃を持ち出す際 (猟場や射撃場へ行く際)は空撃ち薬莢を抜き、(半自動銃では)遊底を後退させて薬室が空であることが一目瞭然であるようにする。この状態であれば、誰が見ても不当装填の疑いがなく、安全であることを確認できるからだ。

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